愛犬がシニアの年齢に差し掛かったとき、「これまでと同じご飯で大丈夫だろうか」と気になり始める飼い主様は多いと思います。
食べる量が少し減ってきた、食べるスピードが落ちてきた。そんな小さな変化を見逃さずにいられるのは、毎日そばにいて、ちゃんと犬ちゃんを見ている飼い主様だからこそです。
老犬の食事管理で大切なのは、「年齢」という数字だけで判断しないことです。7歳を過ぎたからといって一律に変える必要はなく、目の前の犬ちゃんの体重・筋肉・食欲・活動量を見ながら、その子に合った形に少しずつ調整していくことが基本になります。
この記事では、食事を見直すべき理由から、フードの選び方・食べやすくする工夫・回数と量の決め方まで、老犬の食事管理の基本をお伝えします。
老犬になったら食事を見直す理由

老犬の食事管理に必要なのは、「特別な食べ物」よりも「その子の変化に気づいて合わせていくこと」です。加齢に伴って体に何が起きているのかを知っておくと、日々のご飯の選び方が変わってきます。
必要なエネルギー量が変化する
加齢に伴い基礎代謝や活動量が低下するため、成犬の頃と同じ食事内容ではエネルギーが過多になり、太りやすくなります。ただし、必要エネルギー量は個体差が大きく、犬によって上下30%程度の幅があるといわれています。
一方で、15歳を超えるような超高齢になると、食欲が落ちて体重が減ってくることもあります。この場合はカロリーを補う方向に切り替える必要があります。
「老犬だから少なくすればいい」と一律に食事量を減らしたり、高カロリー食に変更したりするのではなく、その子の状態を見ながら調整することが大切なのです※1。
筋肉量や体重が減りやすくなる
高齢になると、加齢性の筋肉減少(サルコペニア)が進みやすくなります。筋肉が落ちると体全体の衰えにもつながりやすいため、変化に気づいたら早めにかかりつけ医に相談することが大切です※4。
体重だけでは、体の状態を正確には把握できません。体脂肪の様子を見る「ボディコンディションスコア(BCS)」と、筋肉の量を見る「筋肉コンディションスコア(MCS)」を合わせてチェックすることが推奨されています。体重が変わらなくても、筋肉が落ちて脂肪が増えていることがあるためです※1※2。
噛む力・飲み込む力が低下する
あごの筋力が落ちたり歯が抜けたりすることで、固いフードを噛むのが難しくなります。また、飲み込む力も落ちてくるため、食べ物が誤って気管に入る誤嚥(ごえん)が起きやすくなります。誤嚥性肺炎のリスクも高まるため注意が必要です※10。
「むせている」「食べながらよだれが増えた」「飲み込みに時間がかかっている」といったサインが見られたら、フードの硬さや形を見直すタイミングです。
消化機能や持病に配慮が必要になる
消化酵素の分泌が減り、胃もたれや下痢・嘔吐をしやすくなります。
また、慢性腎臓病・心臓病・認知機能不全(CCD)など、複数の持病を同時に抱えてしまうこともあります。
たとえば、慢性腎臓病ではリンの摂り方が体の状態に大きく関わることが知られています※8し、
難治性のてんかんでは、特定の脂肪酸(MCT)を含む食事が症状の改善に役立つ可能性が研究で示されています※7。持病によって適切な食事内容は変わってくるため、かかりつけの獣医師と相談しながら決めていきましょう。
老犬の食事で大切な5つのポイント💡

日々のご飯を準備するとき、ちょっと頭に置いておいてほしいことを5つにまとめました。
年齢だけでなく体重・筋肉量・活動量を見る📊
フードの選び方や与える量は、「何歳だから」ではなく、今の犬ちゃんの状態から判断します。
体脂肪の目安となるBCS、筋肉量の目安となるMCSを定期的にチェックし、変化に気づいたら見直すことを習慣にすると安心です。世界的な獣医学のガイドラインでも、栄養の状態を毎回の診察でチェックすることが勧められています※1※3。
BCSとMCSは、おうちでも確認できます。月1回を目安に、以下の方法でチェックしてみてください。
犬の体型は、5段階のBCSで評価します。BCS3が理想的な体型とされています。
確認の手順
- 上と横から犬ちゃんの体型を見る(腰のくびれがあるか)
- 肋骨や背中に手で触れてみる
| スコア | 見た目 | 触って確認 |
|---|---|---|
| BCS 1 やせすぎ | 肋骨・背骨・骨盤が外からでも見える | 筋肉量が著しく少ない |
| BCS 2 やせている | 腰のくびれがはっきりしている | 肋骨が簡単に触れる。皮下脂肪はほとんどない |
| BCS 3 ✅ 理想的 | 腰に適度なくびれ。横からお腹が少し引き上がっている | 軽く触れると肋骨がわかる程度 |
| BCS 4 太りすぎ | 腰のくびれがわかりにくい | 肋骨の上に脂肪が乗っていて触れにくい |
| BCS 5 肥満 | 腰のくびれなし。お腹が垂れている | 肋骨が脂肪に厚く覆われてほとんど触れられない |

頭・肩・腰・骨盤まわりの骨に触れて、筋肉の量を4段階で評価します。
確認の手順
- 頭のてっぺん(側頭部)、肩甲骨、背骨(腰椎)、骨盤のまわりを指で優しく触る
- 骨がどれくらい浮き出ているか、筋肉が減っていないかを確認する
| 状態 | 触って確認 |
|---|---|
| 正常 | 骨が指に強く当たらないように、しっかり筋肉がついている |
| 軽度減少 | 骨のまわりの筋肉が少し薄くなり、骨の形がやや感じられる |
| 中等度減少 | 骨がはっきり感じられる、または見えてくる |
| 重度減少 | 筋肉がかなり落ちて、骨が浮き出ている |

✅ 筋肉減少の5つのサイン(月1回チェック)
- 階段の上り下りを嫌がるようになった
- ジャンプの高さが低くなった、またはしなくなった
- 散歩の距離が短くなった、途中で休むようになった
- 寝ている時間が増えた
- 背骨や腰骨が以前より触れやすくなった
⚠️ 2つ以上あてはまる場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
食べやすい硬さと大きさにする🍚
噛む力が弱くなってきたら、フードをふやかしたり、やわらかいウェットフードやムース状のものを活用したりして、その子が食べやすい形に変えてあげましょう。
「口に入れてもすぐ吐き出す」「食べるのに以前より時間がかかる」という変化は、硬さが合っていないサインのことがあります。
十分な水分を取れるようにする💧
老犬は「喉が渇いた」という感覚が鈍くなりやすく、気づかないまま水分不足になることがあります。
腎臓病の犬ちゃんでは水分摂取が特に重要で、ウェットフードへの切り替えが水分補給にも役立ちます※5。飲み水にささみの茹で汁などで風味をつけると飲む量が増える場合もあります。
消化しやすさに配慮する🐶
内臓への負担を減らすために、消化吸収のよい食材を使ったフードを選ぶのが基本です。
食後の様子(嘔吐・下痢・食後の元気のなさ)をあわせて観察してください。
なお、脂肪分が高い食事は膵臓(すいぞう)に負担をかける原因になります。犬にとって高脂肪の食事は膵炎を引き起こすリスクのひとつとされており、特に老犬は加齢とともに消化酵素の分泌が減るため、若い頃は問題なかった脂肪量でも胃もたれや下痢の原因になりやすくなります。「少し食べ過ぎるとすぐ下痢をする」「お腹を触ると痛がる」といった様子が見られる場合は、フードの脂肪量も含めて獣医師に相談してみてください。
持病がある場合は獣医師の指示を優先する🏥
病気を抱えている犬ちゃんの食事は、一般的な栄養バランスよりも「その子の病気に合わせた食事(療法食)」が優先されます。日本獣医師会のガイドラインでも、療法食は獣医師の診断と継続的な指導のもとで与えるべきものと定義されています※9。
飼い主様が自己判断で市販のシニアフードに切り替えることで、病態管理が崩れてしまうケースがあるため、必ず獣医師の指導に従ってください。
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老犬に適したフードの選び方

スーパーやホームセンターに並ぶシニア向けフードは種類が多く、どれを選べばよいか迷うのが正直なところだと思います。選ぶ際のポイントを整理します。
「シニア用」という表示だけで決めない
「シニア用」「高齢犬用」という表示には、実は統一された栄養基準がありません。製品によってカロリー設計やタンパク質量は大きく異なるため、表示だけで品質を判断することはできません※5。大切なのは「うちの犬ちゃんに今必要な栄養設計(カロリーやタンパク質バランスなど)かどうか」を確認することです。
主食には総合栄養食を選ぶ
毎日の主食には、「総合栄養食」と記載されたフードを選んでください。これは、そのフードだけで健康維持に必要な栄養素が揃っていることを示す表示です(水と一緒に与えることを前提としています)。「一般食」「おかず」「おやつ」などはあくまで補助的なもので、主食にはなりません※11。
カロリーと給与量を確認する
パッケージに書いてある量はあくまでも目安です。「最近ちょっとふっくらしてきた」「なんだか痩せてきた」という変化を見ながら、少しずつ量を調整してください。食欲や運動量によっても、ちょうどいい量は変わってきます。
タンパク質の量と質を確認する
筋肉を維持するためには良質なタンパク質が必要です。
かつては「高齢犬はタンパク質を控えるべき」という考え方もありましたが、現在は腎臓病など制限が必要な疾患がない限り、高品質なタンパク質を十分に確保することが推奨されるようになっています※4。腎臓病がある場合は、タンパク質の量と種類についてかかりつけ医に確認してください。
ドライ・ウェットを状態に合わせて選ぶ
ドライフードは保存性に優れますが、噛む力が弱くなってきた犬ちゃんには向かないことがあります。水分量が多くやわらかいウェットフードは、食べやすさと水分補給を同時に助けてくれます。状態に合わせてどちらかを選ぶか、組み合わせて使うのも良いでしょう。
持病がある場合は療法食を自己判断で選ばない
腎臓病・心臓病・尿石・肝疾患など、特定の疾患に対応した療法食は、医師の処方に準じた「食事による治療」です。自己判断で選択・変更すると健康被害につながることがあります。かならず獣医師の診断と指示のもとで与えてください※9。
老犬が食べやすくなる食事の工夫💚

「ご飯の前には目をキラキラ、鼻をひくひくさせてたのに、最近は食器の前でじっとしている」
そんなことが増えてきたら、食べにくさのサインかもしれません。フード自体を変える前に、まず与え方を工夫してみてください。
フードをふやかす
ドライフードに40〜60度前後のお湯を注ぎ、2〜3分ほど待つとやわらかくなり、香りも立ちます。鶏ささみの茹で汁やヤギミルクでふやかすと、食いつきがさらによくなることがあります。
細かく砕く・つぶす
ふやかしたあとにスプーンの背でつぶしたり、フードプロセッサーでペースト状にしたりすると、舌で舐めとれるようになります。歯が抜けてしまった犬ちゃんや、飲み込む力が弱くなっている犬ちゃんにとくに有効です。
ウェットフードを取り入れる
においが強く食いつきやすい上に、やわらかくて飲み込みやすいのがウェットフードの良いところです。最初はドライフードに少し混ぜるところから始めると、胃腸への負担を抑えながら慣らしていけます。
人肌程度に温める
体温に近い37〜40度前後に温めると、フードの香りが引き立って嗅覚が衰えた犬ちゃんの食欲を刺激できます。水でふやかしたフードを電子レンジで温める場合は、熱すぎる箇所がないようによく混ぜてから与えてください。
とろみをつける
ぬるま湯・ささみの茹で汁・ヤギミルクなどを加えて適度なとろみをつけると、飲み込みやすくなります。ただし、食器が低すぎて頭を下げすぎた姿勢で食べさせると、かえって飲み込みにくくなることがあります。食器の高さについては「食べやすい食器と食事環境」の章で解説しています。
少量のトッピングを利用する
安全で香りの強い食材を少量添えると、食いつきが変わることがあります。茹でた白身魚・かぼちゃ・さつまいも・ささみの茹で汁・かつお節(少量)などが代表的なトッピングです。
ただし、主食をきちんと食べられるようにトッピングは控えめにしましょう。トッピングばかりを食べるようになってしまうと栄養バランスが崩れてしまいます。
📖ご飯を全く食べない状態が続いている場合は、工夫よりも先に原因の確認が必要です。食欲不振への対処については以下のコラムをご参照ください🐕🍚
食事量と回数はどう決める?

「どのくらいあげればいいんだろう」という疑問は、老犬と暮らすほとんどの飼い主様が感じることです。
正直なところ、ぴったりの答えは犬ちゃんによって違います。ここでは、その子に合った量と回数を探すための考え方をお伝えします。
パッケージの量は出発点として考える
フードのパッケージに書いてある量は、あくまでも目安です。同じ体重の犬でも、消費するカロリーには個体差があります。まずは目安量から始めて、体重・体型の変化を見ながら少しずつ調整していきましょう。
体重だけでなく体型と筋肉量を見る
「体重は変わっていないから大丈夫」という判断だけでは不十分です。筋肉が落ちて脂肪が増えていると、体重は同じでもBCS・MCSのスコアが変化します。月1回程度、体重と合わせてBCSを記録しておくと、変化に早く気づけます※1※3。
▶ BCSとMCSの具体的な確認方法は、「年齢だけでなく体重・筋肉量・活動量を見る」の項をご参照ください。
一度に食べられない場合は小分けにする
消化機能が衰えてきた老犬が一度に多く食べると、胃腸への負担が増えます。1日の必要量を2〜4回に分けて与えることで、1回の量を少なくしながら必要な量をしっかり食べてもらえます。食欲にムラがある犬ちゃんにも、少量ずつ回数を増やして与える方法が合っていることが多いです。
食べた量を記録して調整する
「今日は半分しか食べなかった」「昨日からいつもより食いつきが悪い」という変化を記録しておくと、体調の変化や嗜好の移り変わりに早く気づけます。
動物病院でも「最近の食事量と体重の変化」は重要な情報になるため、手帳やスマートフォンのメモに記録しておくことをおすすめします。
📖犬ちゃんがご飯を食べないときの工夫や食べたもの・体調の記録の仕方はこちらの記事でご紹介しています🍚🐶
おやつ・トッピング分も含めて考える
おやつやトッピングもカロリー源です。1日の総摂取カロリーのうち、おやつ・トッピングは10%以内を目安にすると、主食の栄養バランスを大きく崩しません※11。薬を包むためのおやつや、食欲を引き出すためのトッピングも含めて計算してみてください。
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食べやすい食器と食事環境

フードの種類や与え方と同じくらい大切なのが、食べる環境です。少しの工夫で、犬ちゃんが楽な姿勢で食事できるようになります。
首を下げすぎない高さに調整する
食器を床に直接置くと、首・前脚・腰への負担が増え、飲み込みもしにくくなります。食器台を利用して、首をあまり下げずに食べられる高さに調整してあげてください。目安として肩の位置程度、または「体高−10cm前後」が参考にされますが、関節や首の状態によって適切な高さは変わります。かかりつけ医に確認しながら調整するのが安心です※10。

滑りにくい食器・マットを使う
踏ん張る力が弱くなった犬ちゃんは、食事中に足元が滑ることがあります。足元にヨガマットや滑り止めマットを敷くと姿勢が安定します。食器自体も、軽くて動きやすいプラスチック製より、底面に滑り止めがある陶器や重みのある素材が向いています。
浅く広い食器を試す
深い食器だと口が届きにくくなることがあります。底が丸く、口の広い浅型の食器に変えると、食べやすくなることがあります。フードが器の端に溜まりやすい犬ちゃんにも有効です。
姿勢を支えるクッションを利用する
自力で立つのが難しくなってきた犬ちゃんなら、クッションなどを使って上半身を少し起こすようにサポートしてあげましょう。このとき、顎を必要以上に上げた姿勢は誤嚥リスクを高めることがあるため、注意してください※12。

📖食事介助や姿勢サポートにおすすめなクッションについてはこちらの記事をご覧ください💛🐕
落ち着ける場所で食事させてあげましょう
家族の気配を感じられながら、騒音が少ない静かな環境を整えてあげましょう。他にもペットちゃんがおられるご家庭では、それぞれが落ち着いて食べられる空間を確保することも大切です。
シニアフードへ切り替えるタイミング

シニア犬用フードへの切り替えの判断で大切なポイントを4つお伝えします。
年齢だけで一律に切り替えない
「7歳になったからシニアフードに」と一律に決める必要はありません。7歳というのはあくまで一般的な目安です。小型犬と大型犬でも老化の速度が異なりますし、同じ年齢でも状態はその子によっても違います。
体重・便・食欲・活動量を確認する
最近太りやすくなった、便が緩いことが増えた、食べるスピードが落ちた、散歩の距離が自然と短くなってきた。こういった変化が見られたときが、フードを見直すよいタイミングです。
数日から数週間かけて徐々に混ぜる
フードを急に変えると胃腸に負担がかかり、食欲が落ちたり、下痢をしてしまったりすることがあります。今までのフードに新しいものを少しずつ混ぜて、徐々に割合を増やしながら、1〜2週間程度かけて切り替えるのが基本です。
切り替え後の体調を記録する
切り替え中や後の便の状態・食欲・体重がどう変わるかを記録しておきましょう。
手作り食やトッピングを取り入れる場合

愛犬のために手料理をしてあげたいという気持ちはとても自然です。手作り食は水分量が多く香りも立ちやすいため、食欲が落ちている犬ちゃんに食べてもらいやすい面があります。
ただし、主食として毎日与え続ける場合は、犬に必要なビタミン・ミネラル・タンパク質・カルシウムのバランスをすべて満たす必要があります。犬に必要な栄養バランスは人とは大きく異なり(タンパク質の要求量は人の約2倍、カルシウムは約20倍など)、素材を組み合わせるだけでは不足しやすい栄養素があります。環境省のガイドラインでも、犬猫に必要な栄養バランスは人間とは根本的に異なることが明記されています※11。
トッピングとして少量を添える分には、食欲を引き出したり薬を飲ませやすくしたりする助けになります。ただし、トッピングに頼りすぎると主食をきちんと食べなくなり、栄養バランスが崩れてしまうこともあります。
体調管理の面で安全なのは、手作り食は、補助的な位置づけだと意識することです。
主食として手作り食を与える場合は、獣医師や動物栄養士に相談したうえで始めることをおすすめします。
犬に与えてはいけない食材
以下の食材は中毒や消化障害の原因になります。手作り食だけでなく、トッピングや「少しだけ」という形でも与えないでください※11。
⚠️ 絶対に与えてはいけない食材
- たまねぎ・長ねぎ・にんにくなどのネギ類(溶血性貧血)
- ぶどう・レーズン(急性腎不全)
- チョコレート・カカオ(中毒症状)
- アボカド(中毒症状)
- マカデミアナッツ(神経症状)
- 生の魚・イカ・タコ(消化不良・ビタミンB1欠乏)
持病がある場合の注意
腎臓病の犬ちゃんはリンを多く含む食材が問題になり、心臓病の犬ちゃんは塩分に気をつける必要があります。「体に良さそうだから」という判断でトッピングを加える前に、持病がある場合はかならずかかりつけ医に確認してください。
体重や食欲に変化がある場合は相談する
以下のような変化が見られる場合は、日常的な食事の工夫だけで様子を見るのではなく、動物病院に相談することをおすすめします。
🔴3日以上食欲が落ちている、または全く食べない
🔴食べているのに体重が減っている(腫瘍・糖尿病・ホルモンの病気などの疑い)
🔴急に食欲が増えた(認知症やホルモン異常の可能性)
🔴水をたくさん飲むようになった(腎不全、糖尿病、内分泌疾患などで見られる)
🔴筋肉が落ちてきた・やせ細ってきた(加齢性の筋肉減少が進んでいる可能性)
🔴吐く・下痢が続いている(消化管機能の変化は早期の対応が必要)
🔴噛みにくそうにしている・口を触られるのを嫌がる(歯周病・口内炎など)
「老犬だから仕方ない」と決めつけず、気になる変化があれば早めに相談することが、犬ちゃんのQOL(生活の質)を守ることにつながります。
📖食欲がなくなっている場合の具体的な対処については、以下の記事で詳しく解説しています。
老犬の食事に関するよくある質問
- Q1日何回与えるのがよいですか?
- A
一般的には1日2〜4回に分けて与えることが多いです。消化機能が落ちている老犬では、少量を回数多く与えることで胃腸への負担を減らせます。
- Qシニアフードは何歳から与えればよいですか?
- A
一般的に7歳頃が目安とされていますが、犬種や体格・健康状態によって個体差があります。年齢より、「今の体重・筋肉・食欲の状態」を基準に判断してください。
- Qドライフードとウェットフード、どちらがよいですか?
- A
どちらが優れているということはありません。噛む力が弱くなってきた場合や水分摂取量を増やしたい場合はウェットが有利です。保存性やコスト面ではドライが優れています。犬ちゃんの状態に合わせて選ぶか、組み合わせて使うのも良いでしょう。
- Q食べないときは手作り食でも大丈夫ですか?
- A
状況によっては「食べないよりは食べてくれるほうがいい」ということもありますが、手作りの場合、安全な食材選びと栄養バランス、持病への配慮が不可欠です。また、手作り食以外を食べなくなると栄養バランスを崩しやすくなりますので、少量をトッピングとして与えるようにしたり、食べない原因を解消したりすることが大切です。
- Qおやつはどのくらい与えてよいですか?
- A
1日の総カロリーの10%以内を目安にすると、主食の栄養バランスへの影響を抑えられます※11。おやつでお腹が満たされてしまい、主食を食べなくなるパターンには気をつけてください。
まとめ🐾
老犬の食事で見直すべきことは、「特別な食材を使う」ことよりも、「今の犬ちゃんの状態に合わせる」ことです。体重・筋肉・食欲・噛む力・消化の状態は、年齢とともに少しずつ変わっていきます。
変化に気づいたとき、「どうしよう」と不安になる気持ちはよくわかります。でも、変化に気づけていること自体が、犬ちゃんにとっては大きな安心です。
食べやすさをひとつずつ工夫しながら、食事の時間を「楽しみな時間」として守り続けてあげてください。
体重の変化や食欲の低下が気になるときは、「老犬だから仕方ない」と抱え込まずに、かかりつけの獣医師に相談してみてください。いつも見ていてあげているその眼差しが、犬ちゃんにとっていちばんの支えになっています。
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1
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【📄 参考文献】
- ※1 WSAVA栄養ガイドライン・タスクフォース「WSAVA V5 栄養評価ガイドライン(日本語版)」世界小動物獣医師会
- ※2 坂根弘「世界小動物獣医師会による犬と猫の栄養評価ガイドラインの策定」日本獣医師会誌
- ※3 アメリカ動物病院協会(AAHA)「AAHA栄養評価ガイドライン(日本語版)」(2010年)
- ※4 Dhaliwal R. ほか「2023 AAHA Senior Care Guidelines for Dogs and Cats」アメリカ動物病院協会
- ※5 キュティア老犬クリニック「シニア犬・老犬が食べない」
- ※6 秋山蘭ほか「健常犬における炭水化物源の異なるフードの糖代謝への影響」日本獣医生命科学大学
- ※7 中塚一将「ゾニサミド抵抗性の特発性てんかん犬に対する中鎖トリグリセリドによる抗発作作用と副作用として生じる消化管障害メカニズムに関する研究」鳥取大学大学院(2023年)
- ※8 宮川優一「慢性腎臓病の管理に重要なリン・カルシウム代謝異常とFGF-23」日本獣医生命科学大学
- ※9 公益社団法人日本獣医師会「療法食の適正使用に向けた課題と対応」(2013年)
- ※10 Vet’s Labo「獣医師監修:シニア犬の食欲不振 原因とすぐに試せる工夫&おすすめフード」
- ※11 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン〜犬・猫の健康を守るために〜」
- ※12 アニコム損保「どうぶつのターミナルケア(3)自宅で行うケア〈食事のサポート〉〈犬〉」みんなのどうぶつ病気大百科
- ※13 ロイヤルカナン「犬の健康と幸福 Veterinary Focus 30.3」


