愛犬がシニアの年齢に差しかかると、「見た目は元気そうだけど、体の中で何か起きていないかな」と、ふと不安になることはありませんか。
犬ちゃんは、体の不調を表情や言葉で伝えることができません。痛みや違和感を本能的に隠してしまうこともあり、飼い主様が気づいたときにはすでに病気がある程度進んでいた、というケースも少なくないのです。
「シニア期に入ったら、半年に一度くらいを目安に健康診断を受けてください」
獣医師がこのようにすすめるのには、ちゃんとした理由があります。
この記事では、シニア犬の健康診断について、いつから・どのくらいの頻度で・何を調べるのかを、わかりやすくお伝えします。
シニア犬に健康診断が大切な理由

「うちの子、食欲もあるし散歩も喜んでいるから大丈夫」
そう思っていても、見た目の元気さと体の中の状態が一致しないことがあります。これは、犬が不調を隠す動物だからというだけでなく、慢性的な病気の多くが初期段階ではほとんど症状が出ないからでもあります。
シニア期に入ると、腎臓病や心臓病、がん、糖尿病、関節の病気、歯周病など、さまざまな病気のリスクが高まります※2。しかし、早めに見つかれば、食事療法や投薬で治療できたり、その進行をゆっくりにできたりすることも多く、愛犬ちゃんへの負担も小さく済みます。
もうひとつ、健康診断を続ける大切な意味があります。それは「その子の基準値を知ること」です。
血液検査の数値などは、「正常範囲内か」だけでなく、過去と比べてどう変わったかを追うことで、病気の兆候を早めにキャッチできるようになります※2。

元気なうちから記録を積み重ねておくことで、いざというときの大きな安心につながるワン🐾
シニア犬の健康診断は何歳から?

一般的には、7歳を目安に健康診断を始めることが推奨されています※3。シニア期に入ると病気のリスクが高まるため、この年齢を節目として考えましょう。
もちろん、7歳になる前から受け始めてもまったく問題はありません。3歳ごろから年1回の健診を習慣にしておくと、より長い目で体の変化を追えるため、とても理想的といえます。早めに始めることで「元気なときの数値」が蓄積されて、将来の比較に役立ちます。
また、「11歳でも元気いっぱい」な犬ちゃんもいれば、「7歳になったばかりなのに白髪が増えてきた」と感じる犬ちゃんもいます。老化のスピードには個体差があるため、年齢の目安にとらわれすぎず、日々の愛犬ちゃんの様子を見ながら、かかりつけの獣医師と相談して決めていくのがよいでしょう。
どのくらいの頻度で受ける?🔁

犬にとっての1年は、人間に換算すると、小型犬・中型犬で約4歳、大型犬で約7歳分くらい年を取るといわれています※4。それほど加齢のスピードが速いため、人間と同じ年1回という感覚では、体の変化を見逃してしまうこともあります。
おおよその目安として、次のように考えると整理しやすいです。
7歳未満の成犬
年1回を目安にしましょう。シニア期に入る前の健診習慣をここで作っておくと安心です。
7歳〜10歳のシニア犬
半年に1回が理想的です※4。半年のあいだに体の状態がじわじわと変化することも多く、定期的なチェックが早期発見につながります。
11歳以上の老犬
できれば年2〜3回のペースで受けることが望ましいとされています※4。何が起きてもおかしくない年齢になるため、より細かく見ていくことが大切です。
ただし、これはあくまでも目安です。愛犬ちゃんの体の状態や持病の有無によっても変わりますので、かかりつけの獣医師とよく相談しながら決めてみてください。
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シニア犬の健康診断で行われる主な検査項目
健康診断でどんなことを調べるのかを知っておくと、受診前の不安が少し和らぐと思います。ひとつひとつの検査が、愛犬ちゃんの体のどこを見ているのかを、わかりやすくご説明します。

病院は正直こわいワン💦
だけど飼い主さんとずっと一緒にいるためにがんばるワン🐾
問診・身体検査
獣医師が、日頃の食欲や水を飲む量、散歩の様子、排泄の変化などについて問診を行います。
「触診」では全身を丁寧に触って、しこりや痛がる場所がないか、リンパ節の腫れ、関節の動き、歯や耳の状態、皮膚や乳腺、お腹のあたりに異常がないか、などを確認します。聴診器を当てて心音や呼吸音を聴く「聴診」も行われます。こうした丁寧な身体検査から、がんや心臓病の早期発見につながることもあります※1。
血液検査
採血した血液を調べることで、貧血や血液の異常がないか、肝臓や腎臓がきちんと機能しているか、血糖値や脂質の状態、栄養状態が適切かどうかなど、体の内側の幅広い情報がわかります※2。また、必要に応じて心臓の状態を評価する検査や、甲状腺ホルモンの検査などが加わることもあります。
尿検査
尿を調べることで、腎臓病や糖尿病の初期サインを見つけることができます※2。特に腎臓病は、血液検査だけでは初期の段階でなかなか数値に現れません。尿検査を合わせて行うことで、ずっと早い段階からリスクを把握することができます。
便検査
血便の有無や、腸の中に寄生虫がいないか、消化がうまくできているかなどを確認します※2。
レントゲン(X線)検査
骨や関節の状態、背骨の変形、心臓や肺の大きさや位置など、体の内側の構造を確認します※2。外から見ていてはわからない変化を画像で把握できるのがレントゲンの強みです。
超音波(エコー)検査
心臓の動きや血流を確認したり、肝臓・腎臓・膀胱などの臓器の内部を映したりします。レントゲンでは映りにくい腫瘍や結石なども確認できるため、特にシニア期に入ったら大切な検査のひとつです※2。「何となく食欲がない」「お腹が張っている気がする」といったときも、エコー検査で手がかりが見つかることがあります。
健康診断にかかる費用の目安

費用は動物病院によって、また検査内容によっても異なります。おおまかな目安として参考にしてください。
最初から全項目をフルで受ける必要はありません。まずはベーシックな検査を定期的に受けて、気になる数値や症状が出てきたときに、獣医師の提案に沿って検査を追加していくやり方が、無理なく続けやすいと思います※5。
ペット保険に加入している場合は、健康診断の費用補助が付いているプランもあります。保険の内容と合わせて確認してみてください。
📖 シニア犬でも入れるペット保険や選び方については、こちらの記事で詳しくご紹介しています🐶📄
健康診断前に確認しておきたいこと
受診前に準備しておくといくつかのことがあります。動物病院によって指示が異なる場合もあるため、予約の際に確認しておくと安心です。

持っていく物や前日の過ごし方なんかを確認しておきたいワン🐾
ごはんはいっぱい食べたいけど、いいのかワン?
食事制限について
血液検査や超音波検査では、検査前8〜12時間程度の絶食が必要になることがあります。食後は血液中の脂質が増えて数値に影響が出たり、胃の内容物でお腹の臓器が見えにくくなったりすることがあるためです※2。水は問題ないことが多いですが、絶水の指示がある場合はそれに従います。
投薬中のお薬がある場合は、「健康診断の日は薬をどうすればよいか」を事前に獣医師に確認しておきましょう。
尿・便の持参について
尿や便は当日の朝一番の新鮮なものが理想です。採取後は時間が経つと成分が変化してしまうため、清潔な密閉容器に入れて涼しい場所で保管し、なるべく早く持参しましょう。
屋外で排尿する犬ちゃんには清潔な紙コップで受ける方法が、室内の場合はペットシーツを裏返しにして溜まった尿をスポイトで吸い取る方法が使えます。
持ち物と事前メモ
食欲の変化、水を飲む量、歩き方、排泄の回数など、日頃から気になっていることをメモや動画に記録しておくと、問診がとてもスムーズになります。獣医師にとって、犬ちゃんの「普段の様子」が一番の手がかりになります。
待ち時間が長くなりそうなときに備えて、飲み水やお気に入りのブランケット、トイレシートなどを用意しておくと、愛犬ちゃんの緊張を和らげられるのでおすすめです。
日頃から記録しておきたい愛犬の変化📝

健康診断を「受けっぱなし」にしないためにも、ふだんから自宅で愛犬ちゃんの状態を観察して記録しておくことが大切です。病院での検査と自宅での観察を組み合わせることで、変化により早く気づけるようになります。
1. 体重測定⚖️
体重は週に1度でも測っておくと安心です。抱っこして人間用の体重計に乗り、自分の体重との差で計測できます。特に小型犬では数十グラムの増減が、体の異変のサインになることもあります※4。
2. 飲水量・尿量チェック💧
水を飲む量が増えた、尿の量が多くなった、という変化は腎臓病やホルモンの病気の初期サインになることがあります。1日に飲む水の量が体重1kgあたり100ccを大きく超えているようであれば、かかりつけの獣医師に相談してみましょう※4。
3. 食欲と排便の観察🍚
食欲の変化や、便の硬さ・色・回数の変化なども気にかけておきましょう。気になる変化があれば写真に残しておくと、受診時に獣医師へ伝えやすくなります※4。
4. セルフ触診🙌
朝のブラッシングやスキンシップのときに、全身を優しくなでながらしこりや痛がる場所がないかを確認しましょう。顔の左右のバランス、目やに、耳の汚れや臭いなども日頃からチェックしておくと、変化に気づきやすくなります※4。
5. 動作チェック🐕🦺
散歩のときに歩くのを嫌がる、足を引きずる、立ち上がりに時間がかかるといった変化も、見逃さずに記録しておきたいサインです。写真や動画に残しておくと、獣医師への説明にとても役立ちます。
まとめ
言葉を話せない犬ちゃんにとって、健康診断は「今の体の状態を知る」数少ない機会のひとつです。検査を受けて異常が見つからなければ、それはその日の「安心の記録」になります。異常が見つかれば、早めに対処できるチャンスになります。
7歳という節目を迎えたら、まずはかかりつけの獣医師に「シニアの健康診断を受けたい」と声をかけてみてください。
自宅での日々の観察と定期的な健康診断。その積み重ねで、愛犬ちゃんのわずかな変化にずっと早く気づけるようになります。愛犬ちゃんの健康寿命を守る一番のお守りになるように、元気なうちからぜひ始めましょう。
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【参考情報・文献】
※1 柳都こもれび動物病院「【文献紹介】シニアの健康診断ー早期発見の鍵は血液検査ではないー」
※2 nademo「犬の健康診断の費用と頻度を獣医師が解説!早期発見で愛犬の長寿を」
※3 湘南ルアナ動物病院「犬の健康診断Q&A|費用・頻度・内容まで徹底解説!」

