老犬用ハーネスの選び方|歩行補助・後ろ足サポート・手作り代用の注意点

老犬用ハーネスの選び方|歩行補助・後ろ足サポート・手作り代用の注意点

「もう少し早くハーネスを使ってあげればよかった」
歩行が困難になってきた犬ちゃんの飼い主様から、そんな声をうかがうことがあります。一方で、「あまり早くから使うと、かえって筋力が落ちてしまうのでは」
と不安に思う方も少なくありません。
しかし、上手にハーネスを取り入れることで、残っている筋力の低下を緩やかにしたり、思わぬケガを防いだりできるケースもあります。
愛犬の後ろ足がふらついたり、立ち上がるまでに時間がかかったりする様子に気づいたら、その変化に寄り添う一歩として、ハーネスについて知っておくことはきっと役立つはずです。

この記事では、老犬にハーネスが必要になる状態から、前足用・後ろ足用・全身用の違い、サイズの選び方、手作り・バスタオル代用の注意点まで、順を追ってご紹介していきます。

老犬にハーネスが必要になる状態🐾

こちらを見つめるシニアのゴールデンレトリーバー

犬は体重の約60〜70%を前足で支えているといわれています。そのため日頃から負荷のかかりにくい後ろ足の筋肉から先に落ちていき、踏ん張る力が弱くなりやすい傾向があります。
年齢を重ねた愛犬にこうした筋肉量の減少(サルコペニア)が起こると、散歩や日常の歩行に少しずつ影響が出てきます※1。

筋力の衰えのような老化現象はゆっくりと進むため、毎日一緒に過ごしていてもかえって気づきにくいものです。
動物看護の現場でも、目視だけでは分かりにくい歩き方のわずかな乱れを、センサーなどを使って客観的に確認しようとする研究が行われているほどです※2。それだけ後ろ足の変化はご家族にも見過ごされやすいということなのでしょう。
もし、ふらついて慌てたような表情を見せたり、立ち上がろうとして何度も踏ん張る姿を見かけたら、「なんだか可愛いな」で済ませず、「もしかして?」と気にかけるきっかけにしてみてください。

以下のような様子が見られたら、歩行補助ハーネスを取り入れるタイミングかもしれません。

  • 散歩中によろける、尻もちをつく
  • 立ち上がるときに何度も踏ん張る、自力で起き上がるのが難しそう
  • 足を引きずるように歩く

「まだ歩けるから」ともう少し様子を見たくなる気持ちもよく分かります。
しかし、ふらつき始めた段階で取り入れることで、残っている筋力を維持する助けになります。
犬ちゃんが安心して過ごせるよう、無理のない範囲で少しずつ試してみてください。

前足用・後ろ足用・全身用ハーネスの違い🔍

ハーネスには、弱っている部位に合わせて主に3つのタイプがあります。首輪とは異なり、ハーネスは体にかかる圧力を分散できる構造のため、体への負担を軽減しながらしっかりと支えてくれます※3。

タイプ向いている状態特徴
後ろ足用
後ろ足用ハーネス
後ろ足の踏ん張りが弱くなってきた子腰回りに装着し、排泄時の姿勢維持や立ち上がりの補助に使いやすい
前足用
前足用ハーネス
前足の踏ん張りが弱くなり重心が前に寄る子首を圧迫しないベスト型が多く、呼吸器が弱い子にも向いている
全身用(四肢用)
全身用ハーネス
全身の筋力が落ちてきた子、前後両方のバランスが崩れている子立ち上がりから歩行まで支えやすく、初心者でも扱いやすい

なお、寝たきりに近い状態の場合は、着たまま休めるタイプを選ぶと、体位変換の補助がしやすくなります。愛犬の今の状態や生活シーンに合わせて、無理のないタイプを選んであげてください。

犬用の介護ハーネスを選ぶ際は、こうした形状の違いに加えて、使用する場所や愛犬の肌質に応じた素材選び、正確なサイズ計測が重要です※4。次章から詳しく解説していきます。

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サイズ・犬種別に見る選び方と採寸方法📏

小さなシーズー犬と大きなサモエド犬

ハーネス選びで見落としがちなのが、犬種や体重の目安だけで選んでしまうことです。
「実寸を測りましょう」と言われても、具体的にどこを測ればいいのか、ピンとこない飼い主様も多いと思いますので、ここではサイズの測り方や犬種ごとの注意点をお伝えします。

ベスト型ハーネスの測り方🦺

ベスト型のハーネスでは、主に次の4か所を測って選びます※5。

  1. 胸回り(a):前足の付け根のすぐ後ろを一周した長さ
  2. お腹回り(A):体の中心あたりを一周した長さ
  3. 下腹部回り(a’):後ろ足に近い位置を一周した長さ
  4. お腹の長さ(b・b’):前足の付け根から、女の子は後ろ足の付け根の2〜3cm手前まで、男の子は陰部の手前2〜3cmまでの長さ

ハピネスおすすめの前足用ハーネス🐕‍🦺

●zuttoneずっとね 老犬介護用歩行補助ハーネス前足用(ペティオ Petio)
通気性の良いメッシュ素材で手洗いOKだから衛生的。面ファスナーだから着脱もしやすい。

後ろ足用ハーネスの測り方📐

後ろ足用のハーネスを選ぶ場合は、なるべく立った状態で、次の2か所を測ります※5。

  1. 胴回り:後ろ足の付け根のすぐ前あたりを、緩みを入れずに測る
  2. 太もも回り:足を通す部分にあたる、付け根まわりの一番太いところを測る

太もも回りは、犬種や胴回りの数値から算出してあらかじめ少し緩めに作られている製品も多いため、目安程度に考えて問題ありません。胴回りさえきちんと測れていれば大丈夫です※5。

ハピネスおすすめの後ろ足用ハーネス🐕‍🦺🐾

●介護ハーネスLaLaWalk ホールド(トンボ公式)
学生服メーカーのトンボが愛犬のために開発した介護用ハーネス。歩行補助の他、立ち上がりや排泄の介助にも。

全身をサポートするタイプのハーネスを選ぶ場合は、前足側・後ろ足側どちらの機能も備えているため、上記のベスト型・後ろ足用、両方の測り方を参考にサイズを確認しておくと安心です。

ハピネスおすすめの全身用ハーネス🐕‍🦺💚

●歩行補助ハーネスLaLaWalk小型犬・ダックス用(トンボ公式)
犬ちゃんの胴の長さや毛量に応じて着丈を調整できるスナップボタン付き。デザインも4種類から選べるのでオシャレを楽しみながらお散歩ができる。中型・コーギー用、大型犬用も展開。

犬種別に気をつけたいポイント🐶

そのうえで、犬種や体格ごとに気をつけたいポイントも変わってきます。

  • 小型犬(チワワ・トイプードルなど)
    体が小さく歩く位置も低いため、飼い主様が腰をかがめずに支えられるよう、持ち手ベルトが長め、または長さ調節できるタイプがおすすめです
  • 大型犬
    体重をしっかり支える必要があるため、細いベルトだと体に食い込んでしまうことも。幅広タイプを選び、体全体で負荷を分散させてあげましょう
  • ダックスフンド・コーギーなど胴の長い犬種
    胴体にかかる負担が大きいため、前後を分けるタイプよりも、胴回り全体を包み込めるデザインが向いています
  • 柴犬など
    時期によって筋肉量や体重が変わりやすいため、マジックテープやバックルで細かく調整できるタイプが便利です

手作り・バスタオル代用はできる?✂️

針と糸

ハーネスを購入するまでの間や、急に介助が必要になった場面では、バスタオル(小型犬ならタオル)で代用する方法もあります。
バスタオルを太めにたたみ、犬ちゃんのお腹の下(後ろ足の付け根あたり)に通して、両端を持ち上げるようにして支えます。

⚠️ タオルは左右にブレやすいため、力が一点に集中して犬ちゃんのお腹を圧迫してしまったり、姿勢が不自然になってしまったりすることがあります。あくまで一時的な応急処置として考えてください。

本格的に手作りする場合は、愛犬のサイズを丁寧に採寸し、肌に優しい柔らかい素材を選び、四肢の動きを妨げない形に仕上げる工夫が必要です。

💡 少しでも不安があれば、無理に自作を続けず、かかりつけの獣医師に相談してアドバイスを受けたり、体に合った既製品を使用したりするようにしてください。

散歩時に使うときの注意点🐕‍🦺

歩行補助ハーネスをつけて支えてもらう柴犬

散歩でハーネスを使うときは、装着したあとの歩き方や表情の変化を見ながら、少しずつ慣らしていってあげましょう。

⚠️ 介護用ハーネスを長時間つけっぱなしにすると、蒸れによる皮膚トラブルや、素材によっては熱がこもりやすくなることも考えられます※6。
自力で動けない子や、着脱のたびに立ち上がらせるのが負担になる大型犬などでは、つけっぱなしにする場合もありますが、その際は通気性の良い素材を選び、こまめに肌の状態を確認してあげてください。

首輪からハーネスへ切り替えることは、老犬の生活の質(QOL)を支える工夫の一つとして、介護や住環境の見直しの中でも大切にされています※7。愛犬の今の様子をよく観察しながら、その子に合ったサポート具を見つけてあげましょう。

まとめ🐾

ハーネス選びの正解は、愛犬にぴったりのサイズ・機能性・素材を、焦らず選び抜いてあげることです。弱っている部位や生活シーンに合わせて無理のない形でサポート具を取り入れることで、残っている力を大切に守ってあげられます。
愛犬の「まだ歩けるよ」という頑張りに応えながら、その子のペースに合わせて、一歩ずつ寄り添ってあげてください。

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【📚 出典・参考文献】

  1. 高齢ペットのケア|ロイヤルカナン(Veterinary Focus)
  2. 飼育犬の歩行検査と健康管理における床反圧センサ分析法適用の有効性に関する研究(山本健治・井上知美・春口沙織・冨里洋子・山口祐佳/倉敷芸術科学大学生命科学部生命動物科学科)
  3. 首輪とハーネスの選び方|福井藤島どうぶつ病院
  4. 犬用介護ハーネスのおすすめ人気ランキング|マイベスト
  5. 介護用ハーネスサイズの測り方|オーダーの犬用介護ハーネス工房
  6. 愛犬に夏服は必要?獣医師がメリット・デメリットと正しい選び方を徹底解説|DOG JOURNAL
  7. Smile2021 春号|日本動物医療センター フリーマガジン

この記事の執筆者

執筆者

老犬介護
ハピネス 編集部 Y・A

愛犬を5匹見送った経験を持ち、老犬介護の大変さと尊さをよく知る人物。今もシニアの小型犬との快互(愛犬も飼い主も快適な介護)を実践しながら学びを深め、同じ悩みを抱える飼い主様への情報発信に努めている。動物保護ボランティアへの支援も行っている。