老犬のトイレ、失敗が増えても大丈夫。原因の理解と失敗しにくい工夫・排泄介助

老犬のトイレ、失敗が増えても大丈夫。原因の理解と失敗しにくい工夫・排泄介助

昨日まで問題なくできていたトイレが、最近うまくいかなくなってきた。粗相が増えた、トイレの場所を間違えるようになった、夜中に何度も起きるようになった。そんな愛犬の変化に、戸惑いや不安を感じている飼い主様も多いのではないでしょうか。

排泄は、生きているすべての存在にとって欠かせない大切な営みです。シニア期に入った愛犬にその働きの変化が現れるのは、決して珍しいことではなく、むしろ自然な体の移り変わりのひとつ。そして、思うように排泄できないもどかしさは、愛犬自身にとっても、きっと大きなストレスになっているはずです。だからこそ、まずは「よくがんばっているね」という気持ちで、焦らず優しく寄り添ってあげましょう。

この記事では、老犬のトイレ失敗が増える原因をひとつずつひも解きながら、今日からすぐに取り入れられる環境の工夫や、トレーニングの見直し方、そして自力での排泄が難しくなってきたときの支え方まで、その子の今の様子に合わせて選べるよう、段階を追ってご紹介していきます。

なぜ老犬はトイレを間違えるの?失敗が増える原因

ペットシーツからはみ出したおしっこ

トイレの失敗が増えたとき、つい「しつけが崩れてしまった」と捉えがちですが、その裏には老化に伴ういくつかの原因が隠れていることがほとんどです。

身体的な変化として代表的なのは、筋力や膀胱容量の低下です。
若い頃のように排泄を我慢する力が弱まり、トイレに向かう途中で間に合わなくなることがあります。
また、足腰の痛み(椎間板ヘルニアや関節疾患など)によって、後ろ足に力が入らず、いつものトイレまで移動すること自体が負担になっているケースも少なくありません。
踏ん張る姿勢が保てず、トイレの外にはみ出してしまうのも、こうした筋力低下が背景にあることが多いようです。

脳・神経の変化も見逃せない要因です。
加齢に伴う認知機能の低下により、いつも使っていたトイレの場所や間取りそのものを認識できなくなる「見当識障害」が起こることがあります。
粗相が急に増えたタイミングで、夜鳴きや徘徊といった他の症状も見られる場合は、認知症が背景にある可能性についても目を向けてみましょう※1。

一方で、病気のサインとしての排泄トラブルにも注意が必要です。単なる老化ではなく泌尿器系の病気や内分泌疾患が隠れていることもあるため、以下のような様子には気をつけてください。

  • 寝床が濡れている(尿漏れ)
  • 陰部が赤く腫れている
  • 水を飲む量やトイレの回数が明らかに増えた(多飲多尿)
  • メスの場合:避妊手術から数年後に女性ホルモンの減少で起こる「ホルモン反応性尿失禁」(寝ている間に無意識に漏らす)

「歳のせいだから」と自己判断で済ませず、気になる変化があれば早めに動物病院に相談することをおすすめします。

【工夫編】トイレを失敗させない環境づくり🚽

犬用トイレで用を足すトイプードル

原因が分かったところで、まずは今の環境でできる工夫から見直してみましょう。ちょっとした配置の変え方や道具選びだけで、失敗の頻度がぐっと減ることも珍しくありません。

トイレまでの距離を縮める🚽🚽

トイレが遠いと、それだけで間に合わなくなる可能性が高まります。
年をとると歩く速度がゆっくりになるだけでなく頻尿にもなりやすいため、行きたいと思ったときにすぐ向かえるよう、愛犬がいつも過ごしているリビングや寝床のすぐそばにトイレを増設してみましょう。フロアの複数箇所にトイレを置いておくのも効果的です※2。

段差をなくし、足元を安定させる🐾

トイレの縁をまたぐ動作や、床の滑りやすさは、足腰が弱った老犬にとって想像以上の負担です。
トイレシートの周りに滑り止めマットを敷いたり、緩やかなスロープを設置したりして、踏ん張れる環境を整えましょう※2。
トイレシート自体が滑ってしまう、あるいは踏ん張った拍子にシートがめくれてしまうという場合は、シートの四隅を固定できるトレーやカバー付きの製品に切り替えるのも一つの方法です。

ハピネスおすすめのトイレマット🚽🐾

●シリコントイレマット「ピタッと、トイレ」(Conocobi)
マット自体はもちろん、上に敷いたペットシートもズレない。縁にエッジがあるので、トイレシートからおしっこがはみ出しても床までこぼれにくい。エッジは約5㎜だからつまづきにくいので、老犬も安心。丸ごと水洗いできるのも嬉しい。サイズはM・Lの2種。

トイレスペースを広げる↔️

体を支える力が弱くなると、これまでのサイズのトイレでは体全体を収めきれず、はみ出してしまうことがあります。特に排泄中は少し腰を落とした姿勢になるため、足元がふらついて動きながらしてしまうことも珍しくありません。
目安として、これまでの倍程度の広さのトレーに切り替え、出入りしやすいよう縁の低いタイプを選ぶとよいでしょう※2。
サークル内で過ごすことが多い子の場合は、サークル内またはサークルのすぐ隣にトイレを設けると、移動の負担が減りスムーズに用を足しやすくなります。

広くなったトイレと老犬のイラスト
▲ペットシーツを数枚並べてトイレスペースを広くすると失敗しにくくなる

シートをなめてしまう・かじってしまう場合🤐

老犬がトイレシートをなめたり、かじって食べてしまったりする「異食」は、認知機能の低下によって食べ物とそれ以外の区別がつきにくくなることが背景にあるといわれています※3。
シートに使われる吸水ポリマーは水分を含むと大きく膨らむため、誤って飲み込むと腸閉塞を招く危険もあります※4。
メッシュカバー付きのトレーを使うなど、物理的に口にできない環境を整えましょう。叱ると隠れて食べるようになることもあるため、気づいたらおやつで気をそらして対応し、続くようなら動物病院に相談してください。

⚠️ 注意点

シートの誤飲は腸閉塞につながる危険があります。大量に食べてしまった場合や嘔吐などの症状が見られる場合は、速やかに動物病院を受診してください。

ハピネスおすすめのメッシュカバー付きトレー🚽🐕

●お掃除簡単フラットトレー(リッチェル Richell)
高さ1.9㎝の薄型だから、足腰の弱った老犬でもつまづきにくい。細かいメッシュカバーのお陰でシーツのかみちぎりや引っかきを予防。サイズはレギュラーとワイドの2種。

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【トレーニング編】老犬のトイレしつけ・再トレーニング

トレーニングをするダックスフンドと飼い主の女性

これまで外でしか排泄をしてこなかった子にとって、室内トイレへの切り替えは大きなハードルです。しかし足腰が弱ってきた、天候や気温の影響を受けやすくなった、あるいは引っ越しなどで環境が変わったタイミングでは、室内トイレへの移行を検討する時期といえます。

外の環境に近づける

トレーの中に人工芝や砂利風のマットを敷くなど、屋外の感触に近い状態を室内(ベランダなど)に再現してあげると、抵抗感が薄れやすくなります。少しずつ設置場所を室内に近づけていくのもよい方法です。

合図と称賛をセットにする

「おしっこ」「トイレ」など、決まった合図(コマンド)を使い、成功したタイミングで思い切り褒めてあげましょう。老犬であっても、成功体験の積み重ねは新しい習慣づくりの支えになります。

引っ越しなど環境の変化に配慮する

引っ越し直後は、それまで慣れていたトイレの場所や周辺の匂いが一新されるため、老犬にとって混乱の原因になりやすいタイミングです。以前使っていたトイレシートを一部残しておく、新居でも元の配置に近い場所にトイレを置くなど、変化を最小限に抑える工夫をしてあげてください。

無理に我慢させない

トレーニングの途中であっても、排泄を我慢させすぎることは膀胱炎などの泌尿器トラブルを招くおそれがあります。失敗が続いても叱らず、根気よく見守る姿勢を大切にしましょう。

【夜間・頻度編】夜中のトイレと回数の変化

老犬になると、夜中に何度も起きてトイレに行きたがる、あるいは鳴いて知らせるようになることがあります。これは膀胱に尿を溜めておく力が弱まっていることに加え、日中と夜間の体内リズムが崩れやすくなることも関係しています。

対策としては、就寝前のトイレを習慣化する、寝床のすぐそばにもう一つトイレを用意しておくといった工夫が有効です。
それでも夜中の排泄回数が急激に増えた、あるいは逆にまったく出なくなったという場合は、病気のサインである可能性も考えられるため注意が必要です。

💡 おすすめ

排泄の回数や量、色、形状の変化を日々簡単にメモしておくと、体調の異変に早く気づく手がかりになります。特別な記録用紙は必要なく、カレンダーやスマートフォンのメモで十分です。この積み重ねが、いざというときの動物病院での診察をスムーズにしてくれます。

【排泄介助編】自力で難しくなってきたときのケア💚

シニアのテリア犬の排泄介助をする女性

足腰の衰えが進み、自力でトイレまで移動したり、排泄の姿勢を保つことが難しくなってきたら、飼い主様の介助の出番です※5。

排泄姿勢のサポート🫸

足腰が衰えても、立って自分で排泄したいという気持ちを持つ子は多いものです。排泄したそうな様子が見られたら、いきなり触って驚かせないよう、まず声をかけてから支えてあげましょう。支えてもらえば転ばずに上手にできると覚えると、その後は嫌がらずに受け入れてくれることが多くなります。
腰の位置が高すぎると排泄したがらない子もいるため、頭より腰が低くなるくらいの高さを目安にしてください。

男の子(オス)の排尿介助🐕💧

▶支え方
後方に回り、股の間から両手を入れて内股(鼠径部)あたりを支える。尿が前方(ペニス側)へ飛ぶため、圧迫・汚損しない位置に注意

排便介助・女の子(メス)の排尿介助🐕💩

▶支え方
前方から体を抱え込むように片手で内股を支え、もう片方の手で尻尾を軽く上げる。

▶支え方
後方から、後ろ足の付け根から脇腹を両手で支え、腰を少し吊り上げるようにする方法もよく使われる

体格やしっぽの長短、またその子の性格によっても、犬ちゃんが安心して排泄できる支え方は異なります。オス・メスにかかわらず、いくつかの方法を試しながら、その子が一番安定して排泄できるやり方を見つけてあげてください。

長時間の支えが必要な場合や、体の大きな子には、ハーネスやバスタオルを腰に回して吊り上げる方法も負担の軽減に役立ちます。

自力排泄が難しい場合の介助🙌

圧迫排尿は、下腹部にある膀胱を両手で挟むように優しく圧迫して排尿を促す方法です※6。

性別膀胱の位置ポイント
男の子(オス)ペニスの付け根あたり、左右の後ろ足の付け根を結んだ腹部中心付近尿が溜まると水風船のように膨らんで触れてわかる
女の子(メス)左右の後ろ足の付け根を結んだ腹部中心、排泄器官の少し上あたり出口が閉じた状態で無理に押すと破裂の危険。必要に応じ出口を広げる薬の処方も

⚠️ 注意点

オス・メスいずれの場合も自己判断で行うと膀胱を傷めるおそれがあるため、必ず事前に動物病院で正しい方法の指導を受けましょう。

圧迫排尿が難しい場合は医療器具による介助も🏥

圧迫排尿がうまくいかない場合は、尿道にカテーテルを挿入して排尿させる方法もあります※6。

性別カテーテルの特徴
男の子(オス)尿道が比較的分かりやすくまっすぐな構造。獣医師の指導のもと、自宅で挿入できる場合も
女の子(メス)尿道が体の内側にあり分かりにくい構造。自宅での挿入は難しく、病院でバルーンカテーテルを留置し、自宅では定期的な採尿のみを行うのが一般的

排便については、肛門周囲を綿棒や指(清潔な手袋を着用)で優しく刺激すると出やすくなります。うまく出ない場合はワセリンなどの潤滑剤を使う方法もありますが、こちらも自己判断ではなく獣医師に確認してから取り入れると安心です。

【寝たきりになってきたら】無理なく続けられるケアのために

おむつを付けて寝ているミニチュアダックスフンド

寝たきりの状態になると、トイレへの移動自体が難しくなり、排泄ケアの工夫が必要になります。

状態おすすめの方法
トイレのタイミングで起き上がろうとする子おむつが便利。ウンチ袋つきのマナーパンツも市販されており後片付けが楽に。かぶれやすいのでつけっぱなしにせず休ませる時間もつくる
完全に寝たきりの子体の下にペットシーツを直接敷く方法がおすすめ。排泄がすぐわかり清潔に保ちやすく、衛生面のリスクや蒸れによる肌トラブルも防げる

【介護用品編】あると助かるおすすめグッズ📝

トイレの工夫や介助は、便利な介護用品を取り入れることで、飼い主様の負担をぐっと減らすことができます。

💡 おすすめグッズ

段差の低い大判トイレトレー
体を支える範囲が広く、はみ出しにくい設計のものを選ぶと安心です

ハピネスおすすめのメッシュカバー付きトレー🚽🐕

●お掃除簡単フラットトレー(リッチェル Richell)
高さ1.9㎝の薄型だから、足腰の弱った老犬でもつまづきにくい。細かいメッシュカバーのお陰でシーツのかみちぎりや引っかきを予防。サイズはレギュラーとワイドの2種。

滑り止めマット
トイレ周りやよく通る動線に敷くことで、踏ん張りやすい環境をつくれます

ハピネスおすすめのトイレマット🚽🐾

●シリコントイレマット「ピタッと、トイレ」(Conocobi)
マット自体はもちろん、上に敷いたペットシートもズレない。縁にエッジがあるので、トイレシートからおしっこがはみ出しても床までこぼれにくい。エッジは約5㎜だからつまづきにくいので、老犬も安心。丸ごと水洗いできるのも嬉しい。サイズはM・Lの2種。

介助用ハーネス
排泄時だけでなく、日常の歩行サポートとしても活用できます

ハピネスおすすめの介助用ハーネス🐕‍🦺🐾

●介護ハーネス LaLaWalk ホールド(トンボ公式)
学生服メーカーのトンボが愛犬用のハーネスを開発。後ろ足の力が低下した犬ちゃんの起き上がりや歩行、排泄を助ける。

老犬用おむつ
サイズ調整ができるタイプや、漏れ防止機能のあるものが人気です。ただし、オムツを使う場合はオムツかぶれに注意し、こまめな交換を心がけましょう

ハピネスおすすめの介護用紙おむつ🐩🩲

●介護から生まれた紙おむつ(ペティオ Petio)
高性能ポリマーが尿を週間吸収。臭いもしっかりと閉じ込める。サイドギャザーと胴回りの伸縮バンドですきま漏れしにくい。S~4Lの6サイズ展開。

マナーベルト(男の子/オス用)
ペニス周りだけを覆うベルト型で、少量の尿漏れ対策に手軽に使えます

ハピネスおすすめのマナーベルト🐕🩲

●マナーウェア(ユニ・チャーム)
伸縮性に優れてぴったりフィットするのに苦しくない。速乾性が高くてむれにくい。SSSS~LLまでの7サイズ展開。

愛犬の体格や症状の進み方に合わせて、必要なものから少しずつ揃えていくとよいでしょう。

まとめ:一人で抱え込まず、工夫と介助で穏やかな毎日を

老犬のトイレの変化は、老いの中で自然に起こることであり、飼い主様の育て方やしつけが間違っていたわけでは決してありません。粗相をしてしまった愛犬を叱ってしまうと、不安な気持ちにさせ、大切な信頼関係を揺るがせてしまうことにもつながります。「失敗しても大丈夫だよ」と、まずはその気持ちごと受け止めてあげることが、なによりのケアの土台になります。

環境をちょっと工夫するだけで乗り越えられる時期もあれば、少しずつ手を貸してあげたい時期もやってきます。どの段階でも、無理をせず、その子のペースに合わせて寄り添ってあげてください。
気になる様子があれば、早めに動物病院に相談するのも安心につながります。そして、大型犬の介護などで体力的にしんどいと感じたときは、便利な介護用品に頼ったり、動物病院や老犬のデイケアサービスなど、専門家の力を借りたりしながら、どうか一人で抱え込まないようにしてくださいね※7。
愛犬もご自身も、心と体、どちらも大切にしながら、穏やかな毎日を重ねていけますように。

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    暮らしを整える

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【参考文献・サイト】

  1. 「犬の認知症予防に効果的な遊び10選を獣医師が解説」どうぶつ病院京都 四条堀川
  2. 「準備は出来ていますか?犬や猫の介護の準備・方法お教えします ~排泄 寝たきりの介助編~」ALL動物病院グループ
  3. 「異嗜・異食症」壱岐動物病院
  4. 「トイレシート|犬、猫の誤飲の対処法と防止法【救急動物病院の元院長監修】」
  5. 「老犬は排泄介助が必要になるの?排泄のうながし方と介助のやり方【獣医師監修】」sippo(朝日新聞社)
  6. 「どうぶつのターミナルケア(6)自宅で行うケア<排泄の介助><犬>」みんなのどうぶつ病気大百科(アニコム)
  7. 須田沖夫「家庭動物(犬猫)の高齢化対策―飼育者にその死をどう受け入れさせるか―」(東京都家庭動物愛護協会・須田動物病院)

この記事の執筆者

執筆者

老犬介護
ハピネス 編集部 Y・A

愛犬を5匹見送った経験を持ち、老犬介護の大変さと尊さをよく知る人物。今もシニアの小型犬との快互(愛犬も飼い主も快適な介護)を実践しながら学びを深め、同じ悩みを抱える飼い主様への情報発信に努めている。動物保護ボランティアへの支援も行っている。